読み物(ブログ)

2023/12/10 13:33

こんにちは。ALTSTONEです。

「ALTSTONEの砥石はセラミック砥石です」という説明で販売させていただいております。

考えてみると、
シャプトンさんの刃の黒幕もセラミック砥石、
ナニワさんの超セラもセラミック砥石、
末広さんのセラックスもセラミック砥石、
etc.

そして、ALTSTONEもセラミック砥石。

「セラミック砥石」と銘打つものはたくさんあるけど、
実際のところ「セラミック砥石」とは何ぞや?

実はこの「セラミック砥石」という言葉が指す範囲は曖昧でして、この機会に少し説明させてください。
数ある砥石の中から自分の1本を選ぶ上で、参考になれば幸いです。


そもそも「セラミック」とは・・・

まず本題の前に、「セラミック砥石」から離れて、「そもそも『セラミック』って何?」というそもそものところからお話させてください。
重要なところですので、ちょっとだけ、この「そもそも論」に我慢してお付き合いください。

皆さんは「セラミック」と聞いてどのようなものを想像するでしょうか?
おそらく、
身近なものとして、陶磁器製の食器、歯の治療に使われる人口の歯、他には、お手洗いの便器なんかをイメージされるかもしれません。

これらに共通して言えるのは「焼き物」であるという点です。
「焼き物」は組成がとても安定しています。耐熱性、耐腐食性に抜群に秀でています。

調べてみると、世界最古の焼き物は今から約12,000年前の縄文時代に作られ土器だそうです。
完全な原型ではないものの、約12,000年もの間その形を維持することからも、「焼き物」の驚異的な組成の安定性が分かります。

この窯で焼いた焼き物(陶磁器類)が、一般的にイメージされる「セラミック」ということになります。


しかし、ややこしいことに、「セラミック」という言葉は、焼き物(陶磁器類)だけでなく、より広い意味で使われることがあります。
「金属以外の無機化合物全般」を指す言葉として広義で「セラミック」が使われることがあるのです。
その代表的なものは、ガラスやセメントですが、「金属以外の無機化合物」となると他にもいくらでもありそうです。

ここまでをまとめる
狭義の「セラミック」・・・焼き物(陶磁器)
広義の「セラミック」・・・金属以外の無機化合物(陶磁器、ガラス、セメント、などなど(定義に当てはまればなんでもあり))
ということになります。

それでは「セラミック砥石」とは?

上記を踏まえて「セラミック砥石」とは何でしょうか?

実は、「セラミック砥石」と呼ぶための統一基準などはなく、砥石メーカーによってバラバラになっています。

焼き物の砥石をセラミック砥石と呼んでいたり呼んでいなかったり、
焼き物でない砥石をセラミック砥石と呼んでいたり、、、

上述のとおり「セラミック」という言葉を広義で捉えると金属以外の無機化合物は何でも当てはまりますから、間違ってはいないんです。
間違っては、、、

広義の意味で言ってしませば、極論、砥石は全て「セラミック砥石」です。

一般のお客様には分かりにくく、この言葉の混乱は決して良いことではありませんが、
実際のところ、これが現在の砥石業界における「セラミック砥石」という言葉の使われ方なのです。

ALTSTONEは、

では、ALTSTONEはどうかと言いますと、
ALTSTONEは「焼成法によるセラミック砥石」です。

ALTSTONEでは、狭義の焼き物の意で「セラミック砥石」という説明をさせてさせていただいております。
これは、一般的な「セラミック」のイメージ、つまり、ごく身近な食器などをイメージしていただいて、その物質的な安定性をお伝えしたいという思いからです。

そして、広義の意味でのセラミックと区別するために、
ALTSTONEではなるべく、ただ単に『セラミック砥石』と説明するのではなく、『焼成法によるセラミック砥石』ですという風に説明するように心がけています。

誤解されている方は少なからずいらっしゃそうです

この記事を書こうと思ったのは、
「ALTSTONEはセラミック砥石だから、水に浸けっぱなしにすると軟化(のろけ)しやすいのでは?」
という内容のご質問を複数のお客様からいただいたからです。

ここは声を大にして言いたいです。言わせてください。

いえいえ、決してそんなことはありません。真逆です。
ALTSTONEは「焼成法によるセラミック砥石」なので、水に長時間浸けても軟化(のろけ)なんてしません。
そもそも高温で焼いているので、熱湯ぐらいじゃ変質しないし、低温でも問題ありません。
普段使っている陶磁器の食器っていくら水に浸けても変質しないですよね? それぐらいの安定性とご理解いただければ幸いです。

お客様からこういった声をいただいたのは、やはり「セラミック砥石」という言葉の曖昧さが原因なのでしょう。(と思っています)
焼成法ではない砥石を「セラミック砥石」と表現しているメーカーもあるので、そこから生まれた誤解だと思っています。

ALTOSTONEは「焼成法によるセラミック砥石」です。組成は安定しています。

結局どうすればいいの

「セラミック砥石」、ひいては「セラミック」という言葉の曖昧さについて書かせていただきましたが、
では、砥石を選ぶ時にどうすればよいのか?
読んでいただいた方の頭の中にモヤモヤ感を残して終わるのは忍びないので、僭越ながらアドバイスさせていただきます。

「セラミック砥石」という曖昧な言葉に惑わされるよりも、製法の違いに着目していただく方がよいです。
製法で砥石を分類すると代表的なものは3つ。こちらの分類に注目する方が砥石選びに当たってはずっと有意義です。
・焼成砥石
・マグネシア砥石
・レジノイド砥石

今回は「セラミック砥石」という言葉とそ曖昧さを切り口に書いてみましたので、
砥石の製法による違いについては、また別の機会で書きたいなと思います。

それでは。ALTSTONEでした。

焼成法(イメージ)