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2025/04/12 16:36

包丁の切れ味が鈍いと料理の楽しさも半減してしまいますよね。でも安心してください。砥石さえあれば、ご家庭でも包丁の切れ味をしっかり取り戻すことができます。
この記事では、これから包丁研ぎの世界に一歩踏み入れようとしている初心者の方に向けて、知っておきたい基本の知識をわかりやすくまとめました。砥石の選び方や準備の仕方、研ぎ方のコツ、安全に使うためのポイントまで、初めの一歩を踏み出すためのヒントが満載です。ぜひ参考にしてみてください。




研ぎを始める前に:まずは道具を準備しよう

包丁研ぎに必要な道具は、実はとてもシンプルです。最初に用意しておきたいのは次の3つ。


- 砥石:これがなければ始まりません。まずは中砥(#1000前後)を1本選びましょう。
水を入れる容器:
洗面器やバケツなど、家にあるもので十分です。
砥石の下に敷く布巾:
滑り止めとして使います。濡れタオルでもOK。

この3つさえがあれば、包丁研ぎはすぐに始められます。最初から高価な道具を揃える必要はありません。

「砥石さえあれば、家にあるもので十分」という気軽な気持ちでスタートしてみましょう。そう考えるとグッと始めるハードルが低くなりますね。




あると便利な道具たち

より快適に、より安全に包丁を研ぎたいという方には、以下の道具もおすすめです。


面直し砥石:使い続けるうちに砥石の表面は中央が凹んできます。砥石自体も少しずう削れるためです。そんなときに活躍するのが面直し砥石。平らな面を保つことで、研ぎやすさと仕上がりが大きく変わります。最初に買い足す「第一候補」の道具です。

砥石台:砥石をしっかり固定し、研ぐときの安定感を高めてくれる道具。適度な高さがあるため、すり減った砥石でも使いやすくなります。

名倉砥石:研ぎ始めに「刃が滑って砥石にうまく食いつかないな…」と感じたら、名倉砥石の出番です。砥石の表面をこすって泥を出すことで、研磨力がぐっと引き出されます。




砥石の吸水ってなに?基本を理解しよう

砥石には「吸水が必要なタイプ」と「吸水しなくていいタイプ」があります。吸水が必要な砥石は、使用前に5〜15分ほど水に浸けておきましょう。


ただし、吸水の有無は砥石の製法によって異なります。

ビトリファイド砥石:焼き物のように作られ、多くが吸水性。しっかり水に浸けてから使います。

マグネシア砥石:水をあまり吸わないタイプですが、軽く濡らす程度でOK。ただし長時間の浸水は避けた方が安全です。

レジノイド砥石:樹脂で固められたもので、吸水しないものが多いですが、中には少し水を吸うものもあります。


最近は複数の製法を組み合わせた「ハイブリッド砥石」も増えてきました。まずはパッケージやメーカーの説明書きをよく確認してみましょう。

迷ったときは、砥石の上に数滴の水を垂らしてみてください。すっと染み込めば吸水性、弾くようなら不吸水性です。



包丁の種類によって研ぎ方も違う

包丁は「両刃」と「片刃」に分かれ、それぞれで研ぎ方のコツが異なります。

■両刃包丁(三徳包丁・牛刀など)
一般家庭でよく使われているタイプです。研ぎ方は「表5:裏5」で均等に研ぐのが基本。ただし、「表7:裏3」といった“七三研ぎ”を好む人もいます。
注意点として、割り込み構造の包丁(硬い芯材を他の金属で挟んだタイプ)に七三研ぎを行うと、刃の中心がずれてしまうことがあるため、初心者は「表5:裏5」で研ぐのがおすすめです。

研ぐときの角度は15〜20度を目安にしましょう。角度が浅すぎると刃が薄くなりすぎて欠けやすく、深すぎると切れ味が鈍くなってしまいます。

具体的な研ぎ方は、「包丁料理人おいりさん」に作っていただいた動画がありますので、そちらをぜひ参考にしてください。
☆初心者向けショート動画(基本の「表5:裏5」研ぎ)
https://www.youtube.com/shrts/TSsZwCY60DM


片刃包丁(出刃包丁・柳刃包丁など)

片側にだけ刃が付いている構造。片面をしっかり研ぎ、平らな裏面は軽く整える程度にします。出刃や柳刃などのいわゆる「和包丁」がこのタイプです。

片刃包丁具体的な研ぎ方は、「包丁料理人おいりさん」に作っていただいた動画がありますので、そちらをぜひ参考にしてください。
☆初心者向けショート動画(片刃研ぎ)
https://www.youtube.com/shorts/tiySE-RqAT4



安全に包丁を研ぐために気をつけたいこと

包丁研ぎは集中力が必要な作業です。ケガを防ぐためにも、次の点に注意して行いましょう。

砥石の固定を忘れずに
滑り止めとして布巾を敷くか、砥石台を使いましょう。

力を入れすぎない
刃を砥石の上で「滑らせる」イメージで、やさしく研ぎます。

指の位置に注意
手が刃先に触れないように、包丁の背をしっかり持って安定させましょう。



研ぎの3ステップ

包丁の研ぎは「荒研ぎ」「中研ぎ」「仕上げ研ぎ」の3段階に分かれます。

- 荒研ぎ(#200〜#600)
刃こぼれや欠けを直すときに使用。刃の形を整える工程です。傷んだ包丁でなければ、なくても構いません。

- 中研ぎ(#800〜#2000)
切れ味を戻すメインの工程。日々のメンテナンスにはここから始めてもOKです。

- 仕上げ研ぎ(#3000以上)
刃先を滑らかに整え、切れ味を長持ちさせる仕上げの工程。この工程は特に「優しく」仕上げましょう。どの番手で最終仕上げとするか、研ぐ人のこだわり次第です。

ヒント:プロの料理人でも#3000程度で最終仕上げとしている方が結構いらっしゃいます。
こと料理用の包丁に関して言えば、「普段の家庭料理は#1000で十分、#3000のその先はこだわりの世界」と考えていただいて差し支えないと思います。



研ぎのときに気をつけたいこと

- 角度を一定に保つこと
慣れないうちは角度ガイドを使ってもOKです。

- 研ぎの動きはまっすぐ前後に
円を描くような動きではなく、直線的に動かすのが基本です。
途中で水を足すことも忘れずに
砥石の表面が乾いてきたら、数滴ずつ水を足しながら研ぎましょう。泥を一気に流してしまわないように注意してください。


包丁を研ぐタイミングって?

「どのくらいの頻度で研ぐべきか」は使い方やこだわりによって異なりますが、次のようなサインがあるときは、研ぎどきです。
 - トマトの皮がつぶれるようになった
 - 鶏の皮が切りにくくなった
 - 刃こぼれや欠けが見えるようになった

こうした小さな変化に気づけるようになると、自然と研ぎの習慣も身についてきます。


おわりに

包丁の切れ味が変わると、料理がぐっと楽しくなります。
最初は難しそうに感じるかもしれませんが、砥石とほんの少しの知識があれば、誰でも自分の手で包丁を研ぐことができます。

道具の準備、研ぎの手順、そして注意すべきポイントを押さえておけば、安心して研ぎの世界に飛び込めるはずです。

ぜひ一度、包丁研ぎに挑戦してみてください。料理の時間が、きっと今まで以上に楽しくなりますよ。